YELL~あなたへの応援歌♬ 2021Track.11~『25歳の君へ、54歳のあなたへ ~プロ野球選手のセカンドキャリア事情~』
NPB、日本プロ野球も優勝チームが決まり、ポストシーズンが始まります。
ちなみに今はヤクルトファンの私、そして子供の頃は阪急ファンだった私、両チームの優勝は何気に嬉しいです。
私は金満経営系があまり好きじゃないのでセリーグのGとパリーグのHはアンチです(笑)
それは置いて私は3年前からプロ野球独立リーグのルートインBCリーグのセカンドキャリアスポンサーをしています。
その彼らもシーズンが終わってストーブリーグに入りました。
私のこのコラムのタイトルでもある、『25歳の君へ…』はまさに彼らを想い選んだ言葉。
25歳で多くの選手は野球人生にピリオドを打ち、次のキャリアを歩み始めます。
そんな彼ら、そして野球をせずとも今思い悩む同世代の君へ言葉を寄せたいと思います。
これは私が寄稿したBCリーグの冊子、全国の学校に届けられた記事です。
n キャリアの選択に直面した選手たちから感じる覚悟の差
『選択⇒責任⇒覚悟⇒行動⇒結果』
誰にも共通に存在する選択権、何を選ぼうとその人の自由である、でもその選択には選んだという事実=己の責任が宿っていることを忘れないこと、その責任は自覚、覚悟に他ならず、覚悟が決まると人間行動に移せるもの、逆に覚悟が決まらなければ何かしら躊躇して一歩が踏み出せない、覚悟とは自分を信じること、自信とも言える。
行動に移さなければ結果など出る訳もなく、結果が出ないその人には覚悟が足りないとも言える。
2年間で100名以上の選手たちとコミュニケーションを取りました。
どの通信手段を経ても選手の心境は不思議と感じ取ることができます。
野球を辞する決意が読み取れる選手、未練が拭い去れない選手、これから何をしていいか呆然としている選手。
何をしてよいのか分からない、これならば一緒に考えることができます。
しかしながら未練があっては前に進むことはできません。
続けるならばしっかり続ける、辞めるならばスパッとやめる。
その自覚と覚悟がそのまま就職戦線での戦いぶりに出ているように感じています。
n 印象に残ったカウンセリング事例
CASE① 自己対峙をせずに就職、即退職をして迷走する選手たち
1年前に面倒を見た選手、私に相談もほどほどで自分で就職を選んだものの、あっという間の3か月で退職をしたと耳にしました。
話を聞いてみると、迂闊に紹介された会社に就職をした、思いのほか野球をやっている頃の情熱を仕事で感じない、いつの間にか働く気力も失せて退職、アルバイトで食いつなぐも生活がせいぜいで、生まれ故郷に帰りもう一度出直すことに。
もっと最初にしっかりと自己対峙することができなかったのだろうか。
CASE② どうしても野球から離れられない、理想と現実の狭間に苛まれる選手たち
野球にはどんな形であれ野球に関わっていきたいと話す選手たち。
よくよく話すと自分には野球しかないと豪語する選手たち。
野球以外やったことないからわからない、野球しか自信が持てることがない、野球ができるなら他には何もいらない、そう口々にする選手たち。
野球を切り離して考える習慣が今までなかったからだけで、俯瞰する経験がなかっただけに過ぎないのです。
私はこう話します、職業人としての野球人には印籠が渡されたんじゃない?
ここを飲み込めた選手たちは思考が変わります。
選手として報酬がもらえる器じゃない、だから報酬がもらえる選手を育てる方にこれからは回りたい。野球をこれからは趣味として楽しみたい、仕事を精一杯したその週末には地元の仲間との草野球で汗かきたい。これからはDXの時代、データを通じて野球界に貢献したい、一から学校で学んでいずれその道に進むために、学校に行く資金を一生懸命働いて貯めたいと思います。
思考の枠を取り払ってあげることで、野球との新しい関わり方に気づき考える選手たちには自ずと明るい未来が開けている、そう信じています。
CASE③ 何も考えられない、何をしていいかわからないと言う選手たち
昨日まで一生懸命野球のことだけ考えて、グラウンドで汗かいていた選手たち。
明日からはボールもグラブもバットも要らないと言われたら放心状態になって当然。
野球を手放したら何ができるのか、世の中にどんな仕事があって自分には何ができるのか、皆目見当が付かないと話す選手たち。
実はこんな選手が一番キャリアの棚卸がしやすく、どんどん自己対峙も進んで就職も決まりやすいというのは驚きませんか。
なぜ彼らは早く就職が決まるのか、それは『素直』に自分と向き合えているからに他ありません。
子供の頃どんなことに興味があった?何か得意なことあった?どんなことが好きでどんなことが嫌い?スーツを着たいか、そうじゃないか。椅子に座るのがいいか、外を飛び回るのがいいか、営業ならば自分の成果を正当に報酬で返して欲しいのか、それとも残業もあまりなく、土日もしっかり休めるような仕事のが興味があるか。
どんどん飲み込んでどんどん選択し、そして職業選択を自らがして、そして適応する会社を選ぶことができる。
これは問答を続けながら自己理解が進んでいる証、その自分の意思決定を大切に育んであげるサポーターとして私は選手たちと関わって行きたいと考えています。
n セカンドキャリアに臨む上での気構え
『お金で決めない!先輩で決めない!!格好で決めない!!!』これに尽きます。
最初から高額な報酬を得たい気持ちは十分に理解できますが、後悔をする人たちを幾人も目にしています。高い報酬の企業ほど成果に厳しいのは当然であり、またある程度職や企業の選択によって得る報酬も推測できます。
当初は身の丈に見合った報酬を得る、成長に応じて報酬は上がるもの、その社会通念を育める社会人になって欲しいと願っています。
上下関係、師弟関係が厳しい環境で長年育ってきた選手たち。
礼節を重んじる姿勢、これは必ず次のキャリアで役に立つので大切にして欲しいです。
しかしながら自己理解せずにただ「先輩や監督コーチに誘われたからその会社に行きます!」は乱暴極まりないとキャリアアドバイスを通じて訴えたいと考えています。
紹介を受けた会社は果たして自分に相応しい仕事なのか、大切なことは自分の意志で決めること、ここに大切に育んだ礼節は不要です。
世の中には見た目に憧れを抱く格好いい仕事もあり、逆に見た目には泥臭く映り映えがしない仕事もあります。
それはあくまで見た目であり、先入観や固定概念に他なりません。
働いている人たちの使命感や意義までは見た目で読み取れるわけがありません。
その会社の社会への想いや事業への哲学、勤める社員の会社への愛情や業務への誇りなど、本質を理解して企業選択、職業選択をして欲しいと考えています。
n これから野球界を背負う君たちへ
毎日毎日泥だらけで汗まみれで夜遅くまで白球を追いかけている君たち、憧れの球団のユニフォームに袖を通してグランドを駆け回る姿を夢見て頑張っている君たち。
今は24時間、365日野球にとことん打ち込むことを第一優先で考えて欲しい。
どうしたら会心のセンター前ヒットが打てるのか、どうしたらストライクゾーン低め一杯にキレキレのボールが投げられるのか、どうしたらレギュラーで使ってもらえるのか。
ただただそれに集中して諦めずブレず挫けず、自己研鑽に励んでほしいと願っています。
<BE>自分の在り方を考えて、<DO>その在り方の為に行動し、だからこそ<HAVE>夢が勝ち取れるのだと思います。
さて今日も2名の選手とオンラインで面談します。
1名は着実にキャリアを見つめながら、ちょっと優純不断なところもあるけど一歩ずつ歩みを始めていると感じています。
履歴書、職務経歴書、よく頑張って書けたと思います。
慣れないパソコンと自分と向き合っていい作品じゃないですか!?
1名はどうしても目線が高く、自己を高く見積もっているタイプ、ここは頭ごなしに話をしないで少しずつ現実を理解してもらう、時間がかかっても丁寧に向き合う。
あなたの夢、きっと今じゃなくその先に必ず叶うから、だからこそファーストキャリアの重要性、一緒に考えてみよう。
つづく