YELL~あなたへの応援歌~2025Track♪3 『なぜあなたは売れないのか!?Chapter⑤ ~あなたには人を動かす凄みがあるか~』
『情熱がなければ偉大なこと何一つ達成できない』
アメリカの哲学者であるラルフ・ウォルドー・エマーソンが遺した言葉。
セールスマンシップトレーニングの冒頭で私が必ず話すことわざです。
仕事への情熱やお客様への情熱がやがて仕事に向き合う際の価値観や信念になり、お客様に向き合う際の信条や規範になる。
仕事への情熱は時に反骨心から生まれる、決して綺麗な情熱ではないこともある。
私は30数年前に生命保険業界に飛び込んだ。
20代後半で衝撃すら覚えた保険業界への不信感が私の情熱の原型だった。
「ナショナルライフ保険の杉山と申します」
「保険は間に合ってます」ガチャ、ツーツーツーと電話を切られる。
幾度となくこんなやり取りを経験した。
時には名前すら名乗れずに保険と聞いただけで電話を切る相手。
『おいおい、名前も名乗らせてくれないのかよ!』
『そんな無礼な電話の応対方法どこで覚えたんだよ!!』
これが旅行業界から生命保険業界に転職したばかりの私のデビュー当時。
でも、それが私の心に火をつけてどれだけ電話をかけたことか、切られても切られてもかけ続ける、マシーンのように毎日100件、200件。
でも決してめげなかった。
いつの日かこんな信念が芽生えた、『そんな業界を変えたい』
『俺はそんなに嫌がられる仕事をしていない、むしろ生命保険は崇高な商品なはず、なのになぜそんな無碍にする、きっと嫌な経験をたくさんしたに違いない、そんな人たちの生命保険に対する価値観を変えたい』
未経験から飛び込んだ生命保険業界、まだまだ未熟で経験も少ない若干26歳だったこの私に芽生えた信念は、決して綺麗ではない業界へのお客様への反骨心から生まれた。
そして32歳の時に父親を亡くした。
業界を変えたいという反骨心が私の行動力や訴求力となって順調に成績を挙げるようになったその矢先、主任から課長代理に昇格して父親に明日にでも電話で報告しようと思ったその前日に急性心筋梗塞で他界、64歳の早い死だった。
個人事業主として鉄工所を経営していた父、朝から晩まで汗水たらして家族のため、そして
住宅ローンのため必死に働いた。
そんなに裕福な家庭ではなかったのに浪人までさせてもらって大学を出させてくれた。
たった1本あったはずの生命保険、景気が悪くなり住宅ローンも重しだったのか、「死ぬわけないし、とっととやめちまえ」とたった1本しかなかった生命保険を亡くなる3か月前に解約したと泣き崩れる母から聞いた。
「子供が保険会社にいるのになぜ相談しなかった」
「豊に迷惑かけたくなかった」
この苦い辛い経験がまた私に新しい信念を芽生えさせてくれた。
亡くなった親父はお金に代え難い財産を私に遺してくれた、そう思った。
『中小零細企業を保険金不足から救いたい』
『生命保険は保険料で考えない、生命保険は保険金で考える』
私に凄みさえ植え付けてくれたこの価値基準こそ、私が今でも保険業界を支援する原動力。
さて、あなたは情熱をもって仕事をしていますか?
あなたは情熱をもってお客様に接していますか?
情熱とは私のように熱苦しくなくとも冷めたクールな情熱でも情熱に変わりない。
そして綺麗ごとから生まれるものばかりでなく、むしろ成功事例より失敗事例から、楽しい経験からよりも苦しい経験から、得した事柄からより損した事柄から、嬉しい出来事からよりも悲しい出来事から強い信念や理念、価値観や信条やポリシー行動規範は生まれる。
人間の生きてきた様そのものに人を動かす力が宿ってるはず。
あなたが売れないのなら、格好よく綺麗に仕事しようとしてない!?
あなたが売れないのなら、自分の失敗、苦悩、損失、悲劇を隠してない!?
あなたの大切なお客様のことを考えてみようよ。
格好よく綺麗に見えるお客様も、本当は格好悪い経験してきたことで今があるのかもよ。
綺麗に澄まして見えても水面の下で一生懸命もがくように水かきしているかもしれないよ。
たくさん失敗したことで成功している、苦労したから今がある、損失も悲劇も原動力にして今輝いているのかもしれないよ。
お客様のこともっと知りたいなら自分のこと話さなきゃ。
お客様の腹を見たいならまず自分が腹を見せなきゃ。
お客様の本心を知りたいのならまず自分自身が本心で語らなきゃ。
売れないセールスは当たり前のようなこの本質を見落としているような気がしてならない。
なんか耳障りのいい綺麗ごとでお客様の心は動かないと思う。
ほら、閉じ込めている感情、蓋をしている経験にこそセールスの突破口がない!?
それこそがあなたが大切に育むべき信念の種、芽かもしれない。
~つづく~